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  • コフンねこ

【かあちゃん味噌】地元のお母さんがお味噌生産を行う理由。【大阪府豊能町:切畑夢工房】

大阪の北端には町制が敷かれている場所がいくつかあります。



その一つが豊能町



大阪市内でちょこっと雪が降った日にはもう豊能町では雪国のレベルで積もってしまう。


ほんとに大阪府内か?

そんな町には、毎日せっせとお味噌作りを行うお母さんたちがいました。



どこか暖かくどこか懐かしい、あっさりだけれどもちょっぴり独特な香りを持つ「かあちゃん味噌」の製造元・切畑夢工房さんの様子をお届けします。



地産地消で無添加!?「かあちゃん味噌」って?

大阪府豊能町切畑の"切畑夢工房"さん。



そこで製造しているお味噌が「かあちゃん味噌」です。



「かあちゃん味噌」は煮た大豆に米麹を合わせて発酵させる、日本では最もポピュラーな"米みそ"に分類されるお味噌。


煮られるのを待っている味噌豆。

日本の在野の麹菌(発酵のモトとなるカビの一種)は弱いので「煮たもの(炊いたもの)」には定着しにくい。



一方で「蒸したもの」には付き易い。


お米を蒸している様子。

その性質を利用し、蒸したお米に麹菌を付け(=米麹)、煮豆に混ぜこむ。お塩を少々。


麹菌が振りかけられる直前の蒸米。手で軽く揉んで冷ます。

すると米麹が媒介物となって徐々に全体が発酵し、色も茶系に変化してお味噌になる―切畑夢工房さんでも概ねこのような流れでお味噌生産を行っています。


絶賛発酵&熟成中のお味噌。

地元のお米と国産大豆を使ったお味噌生産、その担い手は地元のお母さんたち。だから「かあちゃん味噌」なんですよ。



塩味とほんのり甘み、そして独特の香りを持つところにその特徴がある。そんなお味噌は個人の他にも地元の食堂やラーメン店、それから高級ホテルなんかでも使用されているとの噂。



地元はもとより、たくさんの人に愛されているってのが正に「かあちゃん」という感じですね。



豊能町の直売所「志野の里」でなどで購入可能だそうな。是非ご賞味ください。



なぜ「お母さん」なのか?

お味噌作りというものは正直かなりの重労働。特にめっちゃ重いものを運んだり熱い火を扱ったりせねばならないわけで。



例えば愛知県で「豆味噌(ほぼ大豆だけで作るより古いタイプのお味噌)」を生産している蔵では、その担い手は蔵元のお父さんだった。


愛知県の味噌蔵「中定商店」さんにて説明してくださっているお父さん。

それよりも多少は規模が小さいとはいえ、なぜ豊能町ではお母さんたちがお味噌を作っていらっしゃるのか?



その答えは豊能町の主産業にある。



豊能町の主産業、それは紛れもなく農業。つまり働き手となるお父さんたちは所有する田畑の維持管理を行っているのです。


ご覧のお米はお父さん方が丁寧に育て上げたもの。

お父さんは田畑へ、子どもは学校へ行っている日中に、お母さんたちで集まってなにかを生産しようとの思いから「かあちゃん味噌」は生まれた。



今その生産を担っているお母さんたちの1世代前、僕ら世代からすれば「おばあちゃん」にあたる方々が始めてから約50年。使う食材は地元のお父さんたちが汗水垂らして生産したお米。そして国内産大豆。創業以来変わらない味。


煮られるのを待っている大豆たち。

僕は豊能町出身でもなければ大阪の出身ですらないけれども、「かあちゃん味噌」には懐かしさと暖かみを感じてしまいます。



豊能町の第一次生産と第二次生産の融合。お父さんとお母さんが分業して共に作り上げる、そこに実に日本的な懐かしさと暖かみがあるのかもしれません。



憩いの場としての工房と後継者問題。

切畑夢工房さんは地元のお母さんたちの働く場所としてだけでなく憩いの場としても作用しています。



作業と作業の合間(例えば煮るor蒸す時間)には持ち寄ったお菓子とコーヒーで井戸端会議ならぬ味噌蔵会議がスタート。僕もちゃっかりお菓子とコーヒーをいただいてしまいました。



核家族化・世帯の孤立化が進む現代社会においてお母さんたちが集い、他愛もない世間話をする光景。



その会話の話題の一つに「後継者問題」があるそうで。



1世代前のお母さんたちが始めたお味噌作り。歳で引退なさった先代を引き継いだ今のお母さんたちも、徐々に引退が差し迫っている―「かあちゃん味噌」継承の危機がもうそこまで来ているのです。


我々も井戸端会議に混ぜていただきました。

地域の結束を深める生産と憩いの場が消えてしまうのは悲しい。なんとかして残したい。熱く思いを語るお母さんたち。



かあちゃん味噌に親しみ応援すること。恩着せがましいけれどもそれが僕にできることと思い、この記事を書きました。



まとめ:「かあちゃん味噌」を残すには?

お父さんたちが育てた食材を使って、家庭に人がいない時間に行われるお母さんたちのお味噌作り。



その工房は生産の場としてだけでなく、今ではめっきり見なくなったお母さんたちによる井戸端会議の場でもある。



どこか懐かしく暖かく、そして美味しいかあちゃん味噌には豊能町の産業と生活がギュッと詰まっています。


かあちゃん味噌だけじゃない!「かあちゃんシリーズ」はたくさんある。

しかし、存続の危機にあるのも事実です。



過疎化・少子高齢化・都市への人口集中・農業従事者の減少などなど。豊能町の美味しいお味噌に差し迫る後継者不足の要因は、地方における社会問題を如実に示す重大なモノ。



50年以上続いているかあちゃん味噌をこれから先も残していきたい。けれども、そこに立ちはだかる壁は僕達が思う以上に高いのかもしれない。



こうした大きな問題は簡単には解決できないものと思われます。



それでも、かあちゃん味噌を食べて応援することは誰でもできる。


味噌ラーメン専門店「みつか坊主 醸」で提供中の「ご当地味噌 大阪(夏仕様)」。かあちゃん味噌のみを使用したあっさりラーメン。

地域の産業に対して僕達が手軽に貢献できる唯一の手段ではないでしょうか。



かあちゃん味噌に詰まっているジモトの人の情熱と愛、産業と生活。



あっさりしててほっこりする、それでいて独特の香りを持つ、本当に素敵で美味しいお味噌なんですよ、かあちゃん味噌は。



直接購入するか、かあちゃん味噌を使っているお店を訪ねるか。ぜひ味わっていただきたいと思います。


雪の田舎に佇む電話ボックス。美しい。

ありがとうございました。


(この記事はHD works,みつか坊主の提供でお送りしております。)

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