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  • コフンねこ

受験の翌日、大山古墳で猫に出会った話。

大学受験―これまでの人生で最も困難な試練。



果たしてうまくいくか?失敗するか?



大阪大学の二次試験を受けたその日も不安で眠れなかった。



眠れないなら動けばいい。



せっかく大阪にいるのだから。



自分は歴史が好きで、特に「古墳」という古い時代のお墓に興味を持ってしまったがために古墳の多い大阪という地の大学を受験した。



もしも失敗していたら、大阪に来る機会はめっきり減る。減ってしまう。



受験の翌日というチャンスを逃せば二度と見れないかもしれないもの、僕にとってのそれは大阪府堺市に所在する日本一の全長を誇る前方後円墳「大山古墳」。



眠れなくて冴えた頭で始発の電車に乗り込み、かの地を目指す。



本当にどうしようもない夜明け。



目的地の間近にやってきた時間帯、あたりはまだほの暗く、古墳に茂る鬱蒼とした森も相まって486mを誇る巨大な前方後円墳の姿など見えやしない。



本命の試験も終わったばかりの、先行き不透明な僕に似てるな、と思った。



そこに大山古墳の茂みから現れたのが一匹の猫だった。



今でもそうなのだが、僕は猫にとても嫌われる。どんなに人懐っこい野良猫にも逃げるか噛まれるか。「愛が重いからだよ」と誰かの意見。



でもその猫だけは僕の体に身を寄せ、触っても撫でても逃げない。



猫に嫌われる男、生まれて初めてのふれあい。



僕の混沌とした心が晴れていく。太陽がようやく輝きを増す。



「ありがとう」と感謝を告げると、猫は再び古墳の森へ足早に去って行った。



あの猫はなんだったのだろう。古墳の猫。



そう思いながら僕も足取りを翻し、ホテルへ、ひいては実家への帰路に就く。



実家では僕が見たかった番組が録画されていた。



まさしく僕が見てきた大山古墳など、堺市の歴史を探訪する番組である。



冒頭、大山古墳の風景が画面に。



僕は驚きのあまり声も出なかった。



出演していたのだ、あの「古墳の猫」が。



今朝見てきたばかりのあの灰色と黒の斑の猫。



皆はこれを大したことのように感じられないかもしれない。しかし僕にとっては重要な偶然。心を癒してくれたヤツを画面の向こうに見ることになるなんて。



僕は狂ったように巻き戻しと再生を繰り替えした。



何よりも癒しが必要だった、合格発表のその日まで。



迎えた合格発表、見つけた番号。もしかしたらあの猫が授けてくれたのかもしれない。



その日、大学のみんなと仲良くなるために作ったTwitterアカウントのハンドルネームを、



「古墳ねこ」



に設定したのはこの話がきっかけだ。



(コフるねこ)

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